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夜は暗いもの

紫煙とは、時間を味わうものなのだから。

ジュエリーの世界で暮らす彼は年中世界を飛び回っている。

常に煌びやかな世界で呼吸をし闇の無い世界で暮らしている。

この夜彼が燻らせたのは、ベガス・ロバイナ農園の片隅で巻かれたフレッシュなハウス・ロール。

市場には流通することの無い特別な一本である。

彼が言う。

日々バタバタ仕事をしているとココへやって来たくなる。

ココに来ると心のどうしても埋まらない欠けたところが満たされるのだと。

彼はカウンターに座ると五感とともに紫煙を燻らす。

バーテンダー達のその後にある目には映らぬものを紫煙越しに眺めている。

私は彼から会うたび大切なことを学ばせていただいているのだ。

我々バーテンダーたちは、自分の努力だけで成長しているのではない。

我々バーテンダーたちは、お客様方から育てていただいている。

ふたたび彼が東京からふらりとやってきたとき、

ココでしか味わえぬ独特の時間を提供させていただきたい。

葉巻は流れゆく時間を味わうもの。

 

都会で暮らす彼の街の夜は暗くないのだから。

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