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経験を積み重ねる

自分が口にしたモノだけで人がつくられているように、
人は自分が経験したコトだけでつくられている。

車のガラスに美しい氷の結晶が飾られた朝、僕は雪を求めて山に向かった。
車を走らせながらふと考える。
僕はなぜ山に登るのかと。
ここまでやってきて先月の雪山とは違うとすぐに感じた。
数日前に降ったであろう雪が全く無いのである。
車を止め、重いザックを背負い山頂を目指し僕は歩いた。
途中、名も知らぬ若木と出会い春の訪れを感じた。
朽ちた古杉からは新たな芽が育ち、
淘汰されゆく大自然の時の流れと力強さを垣間見る。
なぜ僕は山に登るのか。
自問自答し呼吸を整えながら一歩一歩足を前に出す。
気温はマイナス5度ほど。
指先の感覚はまだ無く体が温まるまで休まず歩いた。
山登りをしていていつも想うのは、その先には必ず目的地があり
足を一歩出せば必ず目的地に一歩近づける。
だから僕は山に登れるのだ。
最近見る機会が無くなった霜柱を踏みしめながら登った。
山に登りながらよく想うコトがある。
この登山は次の登山の練習でしかないのだと。
人生での経験は、次に訪れる経験へのトレーニングでしかないと。
なぜ、あなたはエベレストに登るのか? との問いに、
ある登山家は「そこにエベレストがあるから」と答えた。
僕は金を稼ぐためだけに仕事をしているわけではない。
いま経験させてもらえる全てのことに貪欲でいたいため、
ホテルで働き、外へ出てゆきバーテンダーを務める。
それは自分の人生のを愉しむための修業であるのだから。
山に登れば登った者にだけ与えられる「何が」がある。
山で養われるその価値観は、登った山からしか与えてくれない。
苦行は嫌だがそれが人生修行となり、いつか「それ」が人生の糧となるのならば
僕はこれからも山に登り続けたい。
山頂に近付くと山肌にこびりついた雪が現れた。
春の息吹とのコントラストが最も美しい季節だ。
敬愛してやまない人が昔つぶやいたことがある。
「春の息吹を感じると涙がでてくる」と。
僕が山に登り続ける限り、僕はその言葉と彼女を一生忘れることが無い。
なぜ僕は山に登るのか。
それは、今年再び訪れたこの山の頂に立ち肌で感じた。
これからも、させていただける経験を積み重ね
裾が広く、身の丈に合う高い山をつくりあげたい。
それはきっと、「経験を重ねる」ことを「努力する」ことで報われるはずだから。
僕の人生のピークはとうに過ぎてしまったのかもしれないが、
自分の人生という頂は、自分自身でつくってみたいものである。
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